株式会社フォレストコーポレーション

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 ものづくりあれこれ Vol.10 養命酒製造株式会社 松澤勝彦駒ヶ根工場長に聞く
 「養命酒」は400年前から伊那谷で造り続けられ、日本全国にその名が知られている滋養強壮の薬酒。

 その製造は、慶長7年(1602年)に上伊那郡中川村の塩沢家で始まり、現在では、養命酒製造株式会社(大正12年創立、本店・東京都渋谷区)が行います。駒ヶ根市の中田切川沿い、中央アルプスから広がる森の中にある駒ヶ根工場は、「養命酒」を全量製造する製造拠点。また、上伊那郡箕輪町には、その開発・研究部門を担う中央研究所もあります。

 信州・伊那谷が生んだ最初のブランド商品「養命酒」。その製造の現場には、どのような苦労と楽しさがあるのでしょうか?

 同社取締役で駒ヶ根工場長の松澤勝彦さんにお聞きしました。


 「現在、年問約9800キロリットル(平成16年実績)の養命酒を製造しています。市販用の1リットルボトルで換算すると980万本になります。3〜4%が台湾など東南アジアに輸出されますが、残りはすべて国内消費です」松澤工場長は、同社の事業概要から丁寧に教えて下さいました。同工場が製造するものの98%は「養命酒」。製造に使用するみりんやブドウ糖を、それ自体として販売もしますが、なんといっても造るのは「養命酒一本」だそうです。

 「養命酒の効能は滋養強壮。製造に使用する生薬は、インヨウカク・ウコン・ケイヒなど14種類。これを長年の研究と経験に基く分量で配合し、みりんを主体とする原酒に浸漬して薬用成分を滲み出させ、熟成しています」

 こう一言でおっしゃられましたが、その一つひとつの工程には、本当に計り知れない伝統と研究の成果が詰め込まれています。

 まず、効能である「滋養強壮」の本来の意味を理解する必要があります。この言葉を聞いて、何か、すごい肉体的エネルギーを与えてくれるものをイメージする人もいるかもしれません。しかし本来の意味は、そうではなくて、体内の生理的活動のバランスが崩れて人間が本来持っている自然治癒力が弱くなっている時に、それを改善する効能をさすのだそうです。

 その効能を引き出すために生薬(自然の薬草類を精製加工したもの)が配合されるわけですが、生薬は自分が持つ薬効のほかに、他の種類の生薬との組み合わせ方によって、効能が広がったり、強まったり、まったく別の効能が出てきたり―という変化を見せます。そこを見極め、14種類を組み合わせる分量を定式化しているわけですから、それはまさに400年の伝統に支えられているもの以外の何物でもありません。

 興味深いことに、科学的分析の手法が高度になった現在では、生薬の薬効を生み出す主要成分はほとんど解明されており、それを抽出することは可能だそうです。しかし、生薬には、その主要成分以外の物質が微妙な働きをしていることが多く、主要成分を組み合わせただけでは、本来の生薬の持つ薬効を再現できないのだそうです。
 
 さらに、これを原酒に浸して成分を沁み出させる工程も重要で、ただ浸しておけば良いというものではなく、浸したり引き上げたりを繰り返す、そのタイミングと回数が、長年にわたって研究されてきたそうです。創業の当主・塩沢家に伝わる江戸時代の古文書には「養命酒は出来上がるまでに2300日を要する」と記されています。それだけの長い年月をかけて行われていた浸出と熟成の工程を、現代的な手法で、短時間に行うためには、これまた大変な時間と研究が必要だったことだろうと思います。


 「伝統的な薬酒を、現代において製造し続けるためには、日々新しい研究と開発が必要になります。それが、私たちの苦しみであり、楽しみでもあるというところでしょうか」
松澤さんが、そういって例に上げてくださった一つが、生薬の産地が全世界に広がっていること。14種類の生薬の中には、砂漠でしか採れないものもあれば、朝鮮人参のように5〜6年もかけなければ栽培できないものもあります。それを、国際的な政治・経済情勢が流動する中で、調達し続けることは大問題です。さらに、同じ生薬でも産地によって、成分や薬効に違いが出るため、日常不断にそれらの分析が必要になるというのです。

 また、「健康に良い」と言われる様々な食品やサプリメントなどが出回っている中で、養命酒製造を事業として進めるためには、当然のことながら製造工程の機械化・自動管理化が問題になります。しかし、これも、先に述べたように単一成分の「薬品」ではなく、複雑な性質を持つ「生薬」を相手にしていることから、簡単に進められるものではありません。昔ながらの伝統的な製法が行ってきた事を、機械を通じて再現するための分析と研究が、そしてそれを踏まえて実際にそれを行う機械を開発することが必要になってくるというわけです。


 「ゆっくり、穏やかに効く―という薬酒の特長は、その良さが現在見直され始めてもいますが、どうしても時間に追われた現代には向かないと思われてしまうところがあります。そこを克服することが、現在の大きな課題でしょう」

 そのために養命酒さんでは、平成17年11月、駒ヶ根工場の敷地内に「健康の森」をオープンさせました。「養命酒」の歴史や50種類の生薬を展示する記念館を中心に、自然散策路を配置し、自然の中で「ゆっくり・穏やかに効く」伝統の薬酒の良さを理解してもらおうという施設です。駒ヶ根工場はすでに「観光工場」として広く知れ渡り、年間10万人の方が見学に訪れるそうですが、その方々にも「健康の森」は大好評だそうです。

 400年の伝統を守りさらに発展させるために、現代的な課題に様々挑戦されている養命酒さん。その着実な歩みはさらに続くことでしょう。

 ※養命酒(ミニボトル)を、同封はがきを返信された方から抽選で5人の方にプレゼントします。どしどしはがきを送ってください。
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木組みの家伊那展示場:長野県伊那市下新田3044-1ハウススクエア伊那ハウジングセンター内

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