株式会社フォレストコーポレーション

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 森・人・住を読む 第13回:木曽町三岳 みたけグルメ工房
三岳黒瀬かぶを守り育てて
     代表 西尾礼子さん

 信州木曽谷の特産品に、この地域で作り続けられてきた赤かぶがあります。芯まで赤く染まった「赤かぶ漬け」や乳酸菌のカを活用した木曽に特有の「すんき漬け」などに使われ、地域の食文化と共に大切に育てられています。
 今回は、そんな「木曽の赤かぶ」を守り続けている方の一人、木曽町三岳で栽培と加工に励んでおられる西尾礼子さん(66)を訪ねました。

 「木曽の赤かぶ」といってもじつはいろいろな種類があります。木祖村の一番奥で作られる「細島かぶ」。御嶽山のふもとに広がる木曽町開田高原で作られる「開田かぶ」。王滝村の「王滝かぶ」。そして、今回訪ねた木曽町三岳の「三岳黒瀬かぶ」がその主なもの。木曽は谷が深いので、
同じ「木曽の赤かぶ」と言っても形や肉質が異なる地域種が、他のものと交配することな<、各地で育てられているのです。

 「どの赤かぶも、その地区の人がそれぞれ一生懸命育てているけどね、三岳の黒瀬かぶが一番!」
 西尾さんは、真っ赤に漬かったかぶ漬けを皿に盛り付けながら快活に話してくださいました。
 「三岳黒瀬かぶ」は、円錐形で肉質は緻密でやや硬<、漬物にした時の歯ごたえが良いとのこと。かぶが持つ辛味が漬かり込んだ後でもしっかり残るのが特徴だそうです。

 「この黒瀬かぶはね、本当に"幻の赤かぶ"だったんですよ」
 「開田かぶ」や「王滝かぶ」が地域の伝統野菜として注目を集め始めていた今から4年前の平成15年、三岳地区で食品加工などの仕事をしていた西尾さんたちは、「三岳地区に独特の野菜はないか」と探していました。そんな折、木曽農業改良普及センターの職員が、一人のおばあさんが育てていた「赤かぶ」を見つけ出しました。
 それは、その時よりも44年前に、愛知用水の水源地である牧尾ダムの建設によって水没した、当時の三岳村黒瀬地区で育てられていた「赤かぶ」だったのです。ダム建設が始まった当時、黒瀬地区には42軒の人家がありました。しかし、三岳村は山奥で不便だったため、そのうちの41軒は村を去って移住しました。ただ一軒、三岳村に残った家のおばあさん、井向美干代さんが、ひっそりと、誰にも知られず、自家用にこのかぶを育て、種を守り続けていたのでした。
 黒瀬地区で赤かぶが作られていたことを知っていた人もいましたが、すでに栽培する人もなく、絶滅したと思われていたのです。
 その種をもらい受け、目分たちで選別して、三岳地区の特産野菜に育てあげたのが、西尾さんを中心に「こまくさの会」に集まっていた農家の女性たちでした。
 「自分たちで何干個もかぶを植えたのよ。その中から良い種を選別するためにね。もう、気の遠くなるような仕事だったけど、井向さんが守ってきたものを守り続けるんだっていう気持ちで頑張っちゃったのよ」
 こうして井向さんから西尾さんたちに引き継がれた「三岳黒瀬かぶ」は、徐々に栽培面積が広がり、現在では三岳地区だけで合計3トンを作るほどになったのです。

 「三岳にはこれといったものが何もないのよ。だから、このかぶを中心にして、何とか自分たちで付加価値をつけて売り出そうーそれが夢だったのよね」
 西尾さんは、当時の村に働きかけ、漬物などを作る加工施設を設置してもらい、そこで、農家の女性自身のカで、特産品作りを開始したのだそうです。それが現在の「みたけグルメ工房」です。
 しかし、それにも前史があります。松本市で洋裁メーカーに従事した後、三岳地区の兼業農家に嫁いだ西尾さんは、地区の農業を活性化させ、農村女性の地位を向上させるためにいろいろな活動を行ってきました。
 村がキャンプ場開発や釣堀建設、天文台に併設した喫茶店建設など「ハコモノ」づくりを進める中、女性グループで農作物を育て、それをテント張りの直売所で販売したりもしました。
 最初はほとんどお客が来ず、地区の年配の男性たちからは「やっぱり女がやることは駄目だ」と笑われたこともあるそうです。
 やがて直売所での販売が軌道に乗ってくると、今度は、お嫁さんが野菜を出荷することを「勝手に自分だけ金儲けをしている」ととがめる姑さんが出はじめ、年配の女性をそうした取り組みに協力してもらえるようにするにはどうしたら良いかを皆で話し合ったこともあったそうです。
 こうして苦労を積み重ねてきた歴史があったからこそ、地区に残されていた「三岳黒瀬かぶ」を守り、育てることに熱心に打ち込むことができたでしょう。

 現在、県内各地で地域や地区に伝わる伝統野菜を発掘し、地域振興の起爆剤にしようという試みが広がっています。こうした試みを通じて「発掘」される伝統野菜が、「三岳黒瀬かぶ」のように、それ自体、それを守り続けてきた人々の苦労の積み重ねの上にあることを知ると、農業の奥の深さを感じないわけにはいきません。
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商圏エリア:長野全域

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本社:長野県伊那市西春近3005
フォレストウィングマンション事業部:長野県伊那市ますみヶ丘7352-1
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